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もうはまだなり、まだはもうなり

アラサー会社員が綴る日々の思うことと備忘録など

屋久島での出会い

実は、昔、住んでた埼玉から屋久島まで、自転車で行ったことがある。大学三年の頃になんとなくテレビで見た屋久杉を実際に見るために、その年の夏休みをフルに使って旅に出た。 

 

自転車で一ヶ月もかけて屋久島にたどりついたぼくは、観光案内所に向かっていた。確か16時くらいで、太陽は落ち始めてたけど、まだ明るい夕暮れだった。プレハブの観光案内所には、(ピークのシーズンでもなかったし、平日だったこともあって)暇そうなおばちゃんしかおらず、そこで安い宿を探してもらったり、屋久杉の観光ルートを相談していた

 

 

そこに、1人の女性が案内所に入ってきた。年齢は、当時のぼく(21歳)よりは少し上めで、登山帰りの格好をしていた。大池さんと言うらしい。その女性も混じって、いろいろおばちゃんから話を聞いた。どうやら大池さんは、この付近で美味しい夕飯を食べれるところ探しているようで。おばちゃんから、17:30分から向かいの居酒屋で美味しい刺身が食べれると紹介されていたので「ぼくも一緒に行っていいですか?」という感じで、一緒に行かせてもらうことした。お店が開くまで時間があったので、2人で外に出てスーパー(Aコープ)に行ったりして、自己紹介したり旅の話をしてたら、あっという間に開店の時間になった。

 

大池さんは、東京に住んでて、ぼくより5歳年上の26歳。信用金庫に勤務してて、夏休みを利用して1人で屋久島に来たそうだ。ぼくより2日前に泊まってる屋久島に来てて、明後日帰るらしい。一人旅が好きでよくふらっと出かけるそうだ。肩くらいまであるやや茶色の髪は軽いパーマが当てられていた。いい意味で健康的な体つきだった。

 

お店が開く時間になって行ってみると、既に3組の客が入っていた。ぼくたちは、オススメの刺身定食を頼んだ。しかし、このお店、出てくるのがすごい遅かったのである。6時をすぎたころ、壮大なボリュームの刺身定食が提供された。首折れ鯖とかトビウオとか、あと、亀の手ってやつが美味しかった。

食事を食べ始めると大池さんが何度も時計を見ていることに気がついた。居心地悪いのかなと思ったけど、聞いてみると泊まってるホテルへの路線バスが6時20分で最終となってしまうらしい。テーブルの上のお刺身定食をみるにどう考えても、その時間までに食べ終わることは無理であった。

 

大池さんは開き直って、「もー間に合わないから、ゆっくり食べよう!」と言ってマグロの刺身を食べていた。それから、1時間くらい色々話してお店を出た。とりあえず、ぼくも大池さんも恋人はいないことがわかった。

 

どうやって帰ろうかなという大池さんに、冗談半分でヒッチハイクでもしてみたらどうですか?と提案した。それいいかもと言うことで、試しにぼくが路側帯に出て左手をあげた。夏とはいえ、夜も七時になると真っ暗である。そしたら、なんと奇跡的に5分くらいして一台の車が止まった。人生初のヒッチハイク、大成功。止まった車のトビラを開けて、大池さんが車に乗った。

 

ぼくは、その夜はその食堂の近くのおばちゃんの家みたいな宿に泊まる予定になってたので、それじゃあと彼女に言った。正直彼女ともっと色々話したかったけど、引き止める理由もなかったので、「またどこかで。」なんて気取って言った。

 

ところが大池さんは「1人で乗るの怖いかも。」と。運転手のおじさんも「早くにいちゃんも乗りなさんな。」と言うことで、何かの縁だなと成り行きに身を任せて車に乗った。

 

車には親子が乗っていた。お父さんと息子。息子は小学校低学年くらいで、この男の子が止まってあげてと提案してくれたことで、ぼくの最初で最期のヒッチハイクが成功したようだ。この男の子から、ポテロングをもらった。いいやつだった。今頃、多分素直ないい子に育ってるでしょう。車を10分ほど走ったところで、大池さんの泊まっているホテルに着いた。僕たちは御礼を言って車を降りた。

 

それから2人で少しホテルの周りを散歩した。そして、バスがこないバス停のベンチに2人で座り、また少し話した。予約した宿に戻るのはおそらく無理なので、野宿をするつもりだったぼくに対して、大池さんは「私の部屋で、シャワーだけでも浴びる?」と。少しびっくりした。これはアレな展開なのか?あれれー俺たち付き合ってないよねー?もう?いいの?年上のおねーさんは違うなぁ。と

 思い「えっ、いいんですか?」と返したあと、「あー、でも、部屋汚いからあげられないやー。」と。下心が読まれたのかな。それから、大池さんは、部屋にあるポカリとか虫除けとかお菓子を持って来てくれて、自分の部屋に帰ってしまった。それから一人でそのバス停に寝ていたら、散歩中の犬に飛び乗られたり、夜中に警察に職質されたりした。

 

東京に帰って、何度か大池さんとデートした。山に登りに行ったら、公園行ったら、飲みに行ったり。でも、ぼくは学生だったしなんとなく付き合う感じではないまま、自然と会わなくなってしまった。告白してたら、どうなってたかはわからないけど、なんとも甘酸っぱい思い出である。

 

この間、ラインの友達かもに大池さんが表示されてたのを見つけた。アイコンは二人の子どものだった。「元気ですか?」って打って送信せずにラインを閉じた。