もうはまだなり、まだはもうなり

アラサー会社員が綴る日々の思うことと備忘録など

夏と満月とブルセラ

今年の夏は雨が多かったが、この日はとても晴れてて夜の20時になっても汗ばむほどであった。

 

僕は新宿の街を歩いていた。新宿は人ごみがすごいこともあってあまり好きではなかった。でも、この日はちょっとした用事があったので仕方なくきたのである。用事をすませたあと、少し街を彷徨った。

 

少し繁華街から外れると、人ごみも減ってきた。駅周辺の華やかなビルとは比べものにならない、古くて低いビルが肩を寄せ合って建てられている。みんな灰色で、築20年はゆうに超えてる。

 

そんな古いビルの入り口に、レコード屋の看板があった。緑やオレンジの原色を多用して、目がチカチカした。レコードなんて聞いたことないし、ターンテーブルもないけど、それとなくそのビルに吸い込まれて、二階のレコード屋に入った。店員は常連の客と話しており、店内には低音が鳴り響く。ぼくは、案の定、どうしたら良いかもわからずちょろっとレコードを見て店をでた。

 

この雑居ビルって他にどんな店舗があるのか、もしかしたら、ヤグザの事務所だったりしてといった無駄な好奇心が働き、階段で2階から3階に登った。

 

そこには、三階には店名と営業中と書かれた看板があるだけだった。その扉は一面灰色で、中を見るためのガラスもなく、なんの店かすらよくわからなかった。でも、長年の勘から、この店の醸し出すこの雰囲気は堅気ではないとすぐにわかった。

 

すぐさま、ポケットから携帯を出して、その店名を調べた結果、すぐにわかった。そこがブルセラショップだと。

 

ブルセラショップとは

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ブルセラ

 

ブルセラショップの存在は知ってたものの、入っことがなかったぼくは、少し躊躇した。しかし、緊張しながらその重い扉を開けた。中に入ると、思ってたより広くて、明るい。店内はビニールカバーに入っている制服がたくさん掛けられていた。

 

入ってすぐに見える店員さんは60を越えたであろう初老の小太りのおじさんだった。デニムのエプロンをしてて、昔よくミニ四駆を買ったおもちゃさんのおっちゃんを思い出させた。ここにはミニ四駆ハイパーヨーヨーの代わりに女の子の制服や使用済みの下着が販売されているのである。

 

ぼく以外には客が2人ほどいた。二人とも真剣に下着を物色している。このコーナーが一番の売りなのか面積が広い。

なので、ぼくもそのコーナーに行って見た。透明のプラスチックのケースには、女の子がスカートを上げた写真とともにその子が履いていたパンツが入っていた。もちろん、未洗濯のものである。

もうなんだかよくわからん気分になって、いろいろ物色をした。500個(枚)はあるであろうパンツを、写真とパンツを見ながら。くそブスもいれば、えっまじかわいいって子までいる。とりあえず片っ端からチェックしていく。ちょっとかわいい子がいた。えりかちゃんである。下着は黄色でレース。

 

ぼくより先にいたお客さんたちは、どうやらお目当のパンツを決めたみたいで次々と購入して行った。

 

もうここまできたら、ぼくも買わない手はないなと思い始めた。たぶん、夏のせいである。ぼくは、えりかちゃん下着姿でこちらに微笑んでいる写真とパンツが入った箱を持っておっちゃんのとこに行く。中学生の時にエロ本を買った時ばりに緊張した。

 

ちなみに、値段は4000円である。高い。いや、高い。でも、買う。

 

それからビルを出る。さすがに持って帰るのも気がひけたので、駅のトイレで開けてみた。とりあえずにおいをかいだ。

 

えもいえない、酸っぱいにおいがした。

うーん。あーあ。女の子の服の甘い匂いと酸っぱい香りが混ざってる。あー。ひょー?イイカオリ、ナノカ?コレガメスノカオリ?オシッコのカオリ?

 

スンスンしながら、これは超えてはいけない一線かもしれないとふと我に返った。客観視して、トイレにパンツを置いて行く決断をする。ぼくは電車に乗って、帰路に着いた。

 

最寄駅に着くと、いくらか涼しくなっていた。なんだか清々しいきぶんで、空を見ると満月で、えりかちゃんのパンツと同じ色だった。

 

さて、妻と子供の待つ家に帰ろう。